車を所有していると、必ず車検を迎えることとなります。
この過程は車を安全に乗るという面から考えて必要なものです。
車検は車の整備に関わることなのでプロの整備士の意見に耳を傾けるのは大事ですが、なるべく費用を安く抑えたいと思うのが人情です。
車検をどのお店に頼むのかを比較検討し、内訳や整備費用を考えれば支払う金額を抑えることも可能です。
車検費用の比較の際に確認することと、金額を安く済ませるために知っておきたいことを詳しく見ていきましょう。
車検費用の解説
車検費用は3つの費用によって成り立っていて、複数社から得た見積もりを比較するときにはこれらをしっかりと確認しておく必要があります。
法定費用
法定費用とは「自動車重量税」、「自賠責保険料」、「検査手数料」のことをいいます。
これらの費用はどの車にも必ず掛かるものであると共に、どこで車検を受けたかユーザー車検を通したのかを問わず金額が変更できないものになっています。
ただ、乗っている車両の重量によって合計金額が変わる仕組みにはなっているので、この点をきちんと把握しておくことが大事です。
法定費用合計金額 | |
軽自動車 | 32,770円 |
普通自動車
(1000kgまで) |
43,330円 |
普通自動車
(1,001kg~1,500kg) |
51,530円 |
普通車
(1,501kg~2,000kg) |
59,730円 |
普通車
(2,001kg~2,500kg) |
68,030円 |
車検基本料金(点検+検査)
基本料金は車検をお願いする店舗やガソリンスタンド、ディーラーなどによって違っていて、各サービス会社からの資料に記載されているのもこの費用です。
基本料金に該当するものは「車検基本点検整備料」、「総合審査・申請代行手数料」で、前者にはハンドルの操作から車体の損傷までを検査する「24ヶ月点検」56項目の費用が含まれていて、後者は車検の申請を代行してもらう手数料です。
しかし車検とはそもそも最低限の保安基準を守っているかどうかを確かめるためにあるので、「24ヶ月点検」を受けないと通らないということはないといえます。
つまり車検のために整備が必要なのであれば部品交換や修理を受ければよいし、不必要なのであればやらなくても構いません。
またブレーキパットの残量やタイヤの残り溝のような消耗品が不合格になった場合は、別料金が掛かります。
整備費用
車は部品の塊であり、これらを交換したり修理したりするにも費用が掛かります。
ブレーキランプやワイパーなどの保安部品だけではなく、バッテリーやオイル交換を整備士から提案される場合があります。
しかしオイルやバッテリーの交換は車検を通す際に必ずしも必要な項目ではないので、こちらも「24ヶ月点検」の費用と同じく不必要ならば断ることが大事です。
車検費用を比較する時期はいつ?
車検は2年に1回は必ずやってくるものです。この検査は有効期限の切れる2ヶ月前から受けることができます。
車検が切れそうになるとほかの店舗と比較している暇もなく、慌てていつもの店に持っていくことになりがちです。
よって、検査までの有効期限が切れる2ヶ月前には店舗ごとの費用を比較しておくと適切でしょう。
車検費用を比較するときに確認しておくべきこと
複数社から見積もりを取得し、店舗ごとの車検費用を比較する際には以下の6つのポイントを確認しておくことが大切です。
車検費用の内訳
上で述べたように法定費用を確かめ、そのうえで店舗ごとの車検基本料金や整備費用を考慮しておく必要があります。
基本料金や整備費用によっては数万円の差が出ることがあり、部品の過剰な交換をなるべく避けるようにすると金額を安く抑えられるのです。
検査日数や時間
いつ頃検査が終わるのかを知っておくことも大事です。
なるべく車を使いたい日に重ならないように注意し、点検が終わったらすぐ取りに行くようにすると適切です。
時間がないときには自分で車検を済ませる(ユーザー車検)というのもひとつの方法ですが、それでも数時間は掛かってしまいます。
点検費用以外のこと
整備費用が必要になった場合は、なるべく安く済ませられるように部品を選ぶとよいでしょう。
代車
ディーラーや整備工場に車検を頼む場合は日数が掛かることがあります。
そういうときは代車を貸してもらえるかどうかをチェックしておく必要があるのです。
ディーラーによっては代車を借りるときに自動車保険料を徴収されることがあるので、そのようなことがないかどうかもあらかじめ確認しておくと適切だといえます。
外車やハイブリッド車を見てもらえるか
ハイブリッド車や外車の車検を断る店舗があるので、こちらも確認しておく必要があります。
支払い方法
車検の費用のうち、法定費用は現金で支払うのが一般的になっています。
それ以外はクレジットカードやローンで済ますことができるのか、事前に確認しておくと適切です。
部品交換に備える
整備費用を安く済ませるには部品を選ぶとよいと上で述べました。
ひとつの部品には純正品や社外品、中古品などがあり、店舗で扱うものの多くが純正部品となっていてパーツ自体が高いケースがほとんどです。
純正部品はメーカーから取り寄せることもあるので、高くなるのはある意味当然だといえます。
部品交換時の費用を安くするには、社外品や中古品などに変えてもらうと出費を抑えることが可能です。
社外品が安全性に問題があるということはないので、入手した社外品を整備工場に持っていけばその分の費用は安くなるのです。
また車検を受けている車にもう長く乗ることがないのであれば、中古部品を充てるという方法もあります。
中古品のなかには「リビルト品」というものがあります。
これは使用済みのパーツを一度分解して洗浄したあと、摩耗や劣化の激しい内部部品を整備交換したもので、ほぼ新品に近い中古部品です。
リビルト品は新品の半額以下で入手できるので、純正品や社外部品が高いというのであればこちらが使えないかどうか整備士に聞いてみるとよいでしょう。
車検費用比較のときは複数の業者に見積を依頼する
車検費用を比較する際は複数の店舗に見積もりをしてもらうことになりますが、そのときには次の5つに注意してください。
法定費用以外の費用
基本料金や整備などの比較は見積もりを取ればすぐに比較可能です。
担当者の説明
見積もりをもらうとき、担当者が「部品を交換しないと何が起こるかわからない」などのように恐怖を煽ってくるような説明をしたところでは、車検を受けるのを止めましょう。
また整備が必要な場合は整備箇所について、納得できる説明がされているかどうかも確認しておく必要があります。
修理箇所の指摘が過剰整備になっていないか
複数の店舗で交換必要部品や故障箇所について同じ指摘がもらえれば、その整備の必要度合いの把握ができます。
部品の持ち込みができるのか
社外品や中古パーツの持ち込みができるのかどうか、チェックしておくと整備費用を抑えられます。
純正部品以外にもリビルト品や社外品などを扱っているのか
純正部品だけを扱っている店舗であれば整備費用が高くつく可能性がありますので、社外品や中古品の取り扱いが可能なお店を選ぶようにしましょう。
車検の種類
車検は検査を受けるお店のタイプや点検方法によって費用が高くなったり低くなったりします。
車検を受けられる場所にはディーラー、車検専門フランチャイズ、民間の整備工場など多岐にわたります。
車検を受ける場所ごとに掛かる費用と仕事の信頼性を確かめておきましょう。
ディーラー車検
ディーラー車検の信頼性はほかの場所と比べて最も高く、メーカーの名前を冠しているからか整備も抜かりなく行ってくれます。
その分、車検費用は高めに設定されているので費用を抑えたい人は、この場所を選ぶ前によく考えておく必要があります。
車検専門フランチャイズ
もともと民間の工場だった場所が、フランチャイズ制を導入したことによって車検専門業になったところが多く、費用は民間整備工場とあまり違いはないといえます。
どこで受けても一定の品質を保った車検が受けられ、整備内容も同じです。時間があまり掛からないのが利点としてあげられます。
民間整備工場車検
町にある地元の整備工場で受けられる車検は、費用が明確でなく整備内容も場所による違いがあります。
顔なじみのところでないという理由で敷居が高いというイメージを持ちやすい場所です。
カー用品店車検
カー用品店で受けられる車検はオイル交換のような簡単な整備をアルバイトがやっている場合があり、仕事の信頼性はあまり高くないといえます。
よって車検や整備を受ける場所としてはあまりおすすめできません。
ガソリンスタンド車検
ガソリンスタンドでは工場を併設している場合、車検を受けられることがあります。
価格が低く設定されていて整備士が常駐しているところも増えていますが、車検に掛かる時間は長く、すべての車種に精通していないので仕事の信頼性にもバラつきがあります。
ユーザー車検
ユーザーが自分の手で車検を行う方法です。
整備を自分でやるのも工場に任せるのもよいですし、車を陸運局に持って行って試験を受ければ済みます。
実費だけで済むので費用は数万円程度で済むのが魅力ですが、手間と時間が掛かることが欠点です。
車検代行
車検代行はユーザー車検を業者に任せるやり方で、店舗は陸運局の近くにあります。
ユーザー車検の次に費用を抑えられるやり方で少しの不具合なら直してもらえますが、整備面の信頼性はあまりないといえます。
最も費用が安くなるのはユーザー車検
ユーザー車検は数万円単位で費用が安く抑えられることが利点です。
ユーザー車検を受ける場合は車検場のある運輸局に車を持ち込む必要があり、事前に予約して受検日程を決めておきます。
国土交通省の公式サイトからユーザー車検の申込みができるようになっていて、ユーザーの所在地や管轄を問わずにどこの陸運支局でも車検を受けられるようになっているのです。
必要な書類は「車検対象車両の車検証」、「自賠責保険証明書」、「自動車税納税証明書」で検査前に24ヶ月点検を受けた場合は「整備点検記録簿」が必要です。
これらに加えて「自動車重量税納付書」に「継続審査申請書」と「自動車検査票」が要りますが、この三種の書類は申請窓口で入手でき、手数料は車種ごとにその場で徴収されます。
検査は初心者でも分かりやすくなっていて、検査官の指示に従って対象車両を動かせばよいだけです。
検査ラインに入る前は対象車両の確認を怠らず、汚れは拭き取っておくようにするとスムーズに進みます。
車検の検査内容を知ることもできるので、どんなことをやっているのか見たいという人にもおすすめできる方法です。
車検と点検、修理を一緒にやる
車検のために部品の交換や修理が必要ならばそのときにやってもらったほうが費用を抑えられる場合があります。
修理の内容次第では通常時に受ける工賃の60%程度の値段で整備を受けられます。
部品代は掛かりますが、簡単な摩耗部品だと工賃が無料で交換してもらえるということもあるのです。
ユーザー車検は安く済みますが、修理箇所があるのにそれを受ける場合は最初から整備工場に依頼して整備もしてもらうほうが、費用の節約になるのです。
ただし先に述べたように車検に必要のない整備や緊急性のない部品交換であれば、費用削減のために断るようにしましょう。
車検と併せて車の買い替えも比較して考えておく
車の交換部品や故障箇所が多いと、車検費用が予算を越える場合もあります。
そのような場合は車の買い替えを検討するのもひとつの方法です。
もし車検費用が予算をオーバーすると考えられ、もう長く車に乗ることもないのであれば車検付きの中古車に乗り換え、もともと持っていた車を売却するという手段をとるのです。
これはユーザーの車への愛着と車両の走行距離や使用頻度などによって変わってくるので、予算や費用を考慮したうえで適切な選択をしてください。
費用を比較して過剰整備や無駄な部品を使わずに車検を済ませる
今まで見てきたように業者ごとの車検費用を比較し、過剰整備や無駄な部品代を省くようにすれば金額の節約はできます。
車に乗っていると2年ごとに必ず車検と向き合っていかなければならなくなります。
少しの手間をかけるだけで成果は出てくるものです。費用削減のために何が必要かをしっかりと見極めて実行していくように心掛けてみてください。
コメント