エコカー減税とは?新車だけじゃなく、中古車も減税対象になる?

皆さんは「エコカー減税」について詳しく知っていますか?「エコカーに乗ると車の税金が安くなるということ?」という漠然としたイメージを持っているかも知れません。

何が減税の対象となるのか、そもそもどのような制度なのかがよく分からないという人も多いと言えます。

また、仮にエコカー減税について知っていたとしても新車だけが対象になると考えている人も居るでしょうが、要件を満たせば中古車でもこの税制度が限定的ながらも適用できるのです。

エコカー減税の詳細や適用期間、適用対象とこの減税制度が設けられた狙いについて詳しく解説していきます。

そもそもエコカー減税ってどんな制度?

エコカー減税とは、国土交通省が定めている基準と照らし合わせ、「排出ガス性能及び燃費性能に優れたもの」と判断できる自動車に対して適用される、「自動車重量税」と「自動車所得税」を免税・減税する制度のことです。

エコカー減税は2009年度より経済産業省の主導のもとで進められ、2012年には減税対象車の燃費基準が切り替えられ、より環境性能の優れた自動車が優遇されるようになって適用期間が3年延長されました。

以降、毎年のように課税の見直しが行われていて、現在の免税基準は制度が設けられた当初のものよりもはるかに厳しくなっています。

エコカー減税の適用期間は?

エコカー減税を受けられる期間は、次のとおりです。

  • 自動車所得税……平成29年4月1日から平成31年3月31日
  • 自動車重量税……平成29年5月1日から平成31年4月30日

燃費基準を満たしている車であれば、この期間内で一度だけ減税・免税措置を受けられ、1年間だけ安くなるというわけです。

ではその減税・免税処置を適用できるタイミングとは、一体いつなのでしょうか。

エコカー減税を受けられるタイミング

エコカー減税は上記の燃費基準を満たした車を取得したり、新規登録したりしたときに受けられます。

  • 自動車取得税は平成29年4月1日から平成31年3月31日の期間中に車を取得した場合に免税措置を受けられます。
  • 自動車重量税は平成26年4月1日から平成29年4月30日の間に新車新規登録をしたときに税の免除が適用でき、この措置を受けていれば次の車検時も免税可能です。

このうち、自動車取得税は消費税が10%に増税される段階で廃止されることになっていますが、税率が2%上昇するのであまり変わらないといえます。

また自動車取得税が廃止された後も新たな税制度として、「環境性能割」という燃費のよい車の税負担を軽くし、燃費性能の悪い車の税負担を重くする制度が追加されるため、所有している車によっては税金の負担額が増えてしまうのです。

中古車はエコカー減税を適用できる?

エコカー減税の対象となるのは、減税対象車を購入して新車としての新規登録を行ったときです。そのため一見すると、中古車に減税措置を適用できないように思えます。

しかしエコカー減税には「中古車特例」という制度があり、減税制度の対象となる要件を満たしてさえいれば、中古車でも自動車所得税の減税対象にはなるのです。

それは新車のように完全な免税が受けられるというわけではないですが、燃料電池自動車や電気自動車、プラグインハイブリッド自動車などに分類される車両を購入した場合は購入金額から45万円が控除されるようになっています。

エコカー減税対象となる中古車は?

エコカー減税の適用対象となる中古車は、次のとおりです。

  • 天然ガス自動車(平成21年排ガス規制NOx10%以上低減又は平成30年排ガス規制適合)
  • 電気自動車
  • 燃料電池自動車
  • プラグインハイブリッド自動車
  • クリーンディーゼル乗用車(平成21年排ガス規制適合又は平成30年排ガス規制適合)
  • ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む)(平成17年排ガス規制75%低減または平成30年排ガス規制50%低)

このうち、天然ガス自動車からクリーンディーゼル乗用車までは取得価格から45%が控除され、ガソリン車・LPG車は平成32年度燃費基準を達成した上で、それをどれだけ越えているかによって免除額が変わります。

対象・要件等 特例措置の内容
  • 電気自動車
  • 燃料電池自動車
  • 天然ガス自動車(平成21年排ガス規制NOx10%以上低減又は平成30年排ガス規制適合)
  • プラグインハイブリッド自動車
  • クリーンディーゼル乗用車(平成21年排ガス規制適合又は平成30年排ガス規制適合)
 

 

取得金額から45万円控除

 

 

燃費性能 平成32年度燃費基準
排ガス性能 達成 +10% +20% +30% +40% +50%
ガソリン車・LPG車

(ハイブリッド車を含む)

 

(平成17年排ガス規制75%低減または平成30年排ガス規制50%低) 取得価格

から5万円

控除

取得価格

から15万円

控除

取得価格

から25万円

控除

取得価格

から35万円

控除

取得価格から45万円控除

出典:https://car-teach.com/old-car-tax-break

自動車所得税は購入金額に一定の税率を掛け、その上で税額を計算します。

そのため車の元々の金額自体が減額されれば、自然と税率そのものも下がることになるのです。

すべての中古車がエコカー減税を受けられるわけではない!

このように見ていくと、エコカー減税は新車や中古車に関係なく適用できるように考えがちです。しかしこの免税制度は中古の車には非常に厳しいものとなっています。

エコカー減税を受けられる中古車は3年目の初回車検を迎えていないものに限られます。

つまり3年未満の中古の車でなければ、免税制度の対象とはならないのです。

3年経過前の中古車は値段が高く、仮に購入したとしても免税制度が適用されるのは、車を買ってからの1年間だけです。

そのため中古車を買ってエコカー減税制度を受けたいのであれば、3年目の初回車検を迎えていない車だけを購入する必要があります。

エコカー減税を受けられる中古車ではどのタイプがおすすめか?

エコカー減税を受けられるという理由で新車を買おうとする人も一部にはいるかも知れませんが、このような「次世代型自動車」はさまざまな理由で新車価格が高く、この制度を適用して税負担が減ったとしても新車における免税措置の対象外として位置づけられているガソリン車やハイブリッド車よりも負担額は大きくなります。

燃費のよいエコカー減税制度を受けられる中古車を手に入れられるタイミングは限られていて、車が中古市場に出回るまで一定期間は待つことになり、車両が市場で扱われるようになった後は免税措置を受けられる3年以内に入手する必要があります。

次世代自動車に該当する電気自動車やプラグインハイブリッド自動車は中古車でも買えるのですが、これらは自宅に充電設備があったり航続距離の問題をクリアしたりしないと実質的な購入対象とはなりません。燃料電池自動車は値段が高く、クリーンディーゼル乗用車や天然ガス自動車は振動や騒音、低馬力などの課題があります。

中古車を買うのであれば現実的に見てガソリン車やLPG車ということになるのですが、エコカー減税の特例制度を受けたとしても、時間が経つと通常の場合と同じ税額を負担する必要が出てきます。

古い車に厳しい日本の自動車関連税

日本の自動車の税金には上記の自動車所得税と自動車重量税、自動車税の3種類があり、このほかにも燃料の税があります。これに加えて初度登録から13年経った車の税は115%に高まるようになっています。

1.6から2Lエンジン車の自動車税は、登録から13年を超えると新しい2.5L車の税額を上回ってしまい、自動車重量税も初度登録から13年経過で139%に増えるのですが、これは車の購入当初にエコカー減税を受けていた場合は安くなります。

しかしそれでも金額が増えることに変わりはなく、車を買った直後は自動車所得税と自動車重量税、自動車税が安くなりますが、以降は通常通りの税率で税金を支払う必要があります。
しかも購入後の期間が長ければ長いほど税率は上がっていく仕組みとなっているのです。

例えば排気量1.6から2L、車両の重さが1001から1500kgの、エコカー減税適用対象となる中古車を購入したとしましょう。その場合は継続車検を受けるときに納める2年分の維持費は、自動車税(7万9000円)+自動車重量税(1万5000円)=9万4000円ですが、これが13年経つと自動車税2年分(9万800円)+自動車重量税2年分(3万4200円)=12万5000円となります。

一方のエコカー減税が適用されない3年以上経過した、排気量と車重が同じ中古車の場合は継続車検を受ける際の2年分の維持費が自動車税(7万9000円)+自動車重量税(2万4600円)=10万3600円で、これが13年後には自動車税2年分(9万800円)+自動車重量税2年分(3万4200円)=12万5000円です。

つまりエコカー減税の適用対象であっても、購入後の時間経過によって通常の税額を受ける場合と同じことになってしまうのです。

自賠責保険料や販売店手数料のことも忘れずに

税負担だけではなく、車検時に加入する「自賠責保険料」や販売店に運輸局への使用者登録手続きを代行してもらう費用としての「販売店手数料」などもあるので、仮にエコカー減税制度を受けられる中古車を手に入れるとしても納車や車庫証明書を自分で申請するなどして、諸費用の値引きを考えておくのが適切です。

このように見ていくと、中古車においてのエコカー減税制度はあくまでおまけのようなものだと考えておいたほうがよいといえます。

なぜ中古車にとっておまけでしかないエコカー減税制度が誕生したのか?

エコカー減税制度は新車や中古車の購入当初は税負担が軽減されるも、後々に通常と同じ税額を払う必要が出てきます。

なぜ、ユーザーにとってプラスになるとも言い難いエコカー減税制度が導入されたのでしょうか。この制度は2017年以降も新しくした上で継続させると決定されています。

エコカー減税制度が導入されるようになった理由は政府の発表だと主に2つあります。

1つは国際社会の一員として、CO2の削減目標量を達成するため。日本は2030年段階で26.0%減とする目標値を提出しています。これを実現するためにエコカー減税制度を導入したというのです。

2つ目はリーマンショックによる不況を受け、不安定に陥った景気を安定化させること。つまりは消費を活性化させて経済に刺激を与え、不況を脱しようというわけです。

しかしこれらの目標が達成されたかどうかは疑わしいのが現状です。

1つ目の目標については矛盾をはらんでいます。エコカー減税の対象となるのは新車ですが、このことはユーザーに「古い車よりも新しく環境性能に優れた車を選んで買ってもらったほうが消費の活性化が図れる」という考え方に基づくものです。

ところが、新しい車を作るとなるとその過程で大量のCO2が排出されてしまうので削減目標の達成どころか、二酸化炭素の排出量を増やすだけだといえます。

エコカー減税制度があるとはいえ、最初のときだけ金額が減るという理由でエコカーに乗り換える人が多いとも言い難く、この制度でどれだけの量の二酸化炭素が削減できたのかについても、誰も検証していません。

次に2つ目の目標についても、減税制度が導入された当初は確かに売れ行きが高まりはしましたが、現在では売り上げが落ち込んでいるのです。

その理由も自動車取得税や自動車重量税、ガソリン税などの税金が高いことにあると言えます。

これらは元々道路特定財源として定められたもので、道路の恩恵を受ける自動車ユーザーに道路の整備費用も払わせるべきだという考え方が根底にあります。

ところが、この道路特定財源制度は2009年に廃止されているので、現在も自動車税や自動車取得税などの税金をユーザーに払わせる根拠が完全に崩壊しているのです。

もし消費を促したいのであれば、この制度に基づく税の徴収をやめればよいだけの話です。

また減税制度とは言うものの実際は購入後に新規登録を行った1度だけ免税・減税措置が受けられるだけで、その後は通常通りの税額を払わなければならないという点も自動車の消費停滞を生んでいる原因だと言えます。

新しい車を買ってもらおうとする政府の考え

上で記したように、今の日本の自動車関連税は時間が経過すればするほど金額が上がり、ユーザーの負担も増していきます。

これには「古い車を捨てて新しい車に乗り換えろ」という政府の考えが強く反映されていると言えます。

このことはエコカー減税制度の本来の対象は新車で免税措置まである一方、中古車は特例制度があるだけで税を払う必要はあるという点からもうかがえます。

古い自動車であればあるほど税が高くなって廃棄に追い込まれていくことは、ユーザーに新車を買わせるきっかけになりますが、新しい車が作られる量が多いほど二酸化炭素が大量に放出されて環境が悪化していくのです。

このように見ていくと、廃止すべき税金を残しながらエコカー減税制度で「お得感」があるように見せかけ、政府がユーザーから多くの税を徴収するという仕組みができあがっていることが分かります。

つまりエコカー減税制度は中古車よりも新車の消費を促し、政府が多額の税金を徴収するための材料として設けられたに過ぎないと言えます。

エコカー減税制度と中古車は水と油

古い車を軽視する考えが政府にある以上、エコカー減税制度を適用させた上で中古車を買おうとする場合も新車の購入時と同じく、後々のリスクをよく考えた上で行ったほうがよいでしょう。

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